今日もお仕事を終え、「さぁて、そろそろ帰ろうか(´▽`*)」と思っていた頃。
社員の一人がどこか不安そうな、そして今にも泣き出しそうな顔でこちらにやってくる。
「すみません、わたしのデスクの鍵が閉まらなくなりました……😭」

どうやら、自分のデスクの鍵がうまく閉まらなくなったらしい。なるほど…
……いや、俺は別に鍵の専門家ではない。もちろんプロの鍵屋でもない。しかし目の前で
困っている社員がいる以上、これは見過ごすわけにはいかない。俺はその現場へと急行する。
そして相対し、屈強そうな鍵穴が聳え立つ。勝算はないが、俺は立ち向かうことを決意した。
まずは状況確認。鍵は一致している。鍵そのものが違うわけではない。
それならば、なぜ回らない?左手で軽く様子見。
……だが、びくともしない。左に回す。
……回らない。右に回す。
……びくともしない。なるほど。
これはなかなかの強敵だ。軽い力では、まったく動く気配がない。

「どうしたものか……」一瞬、俺の脳裏にさまざまな可能性が浮かんだ。鍵穴の故障か。
それとも鍵そのものの問題か。あるいは、ただ単純に俺の回し方が悪いのか。

しかしここで諦めるわけにはいかない。なぜなら俺は後ろにいる社員の運命を背負っている。
利き手の右手に運命を託し、再び施錠を試みる。手が震える。しかたがない。ここから先は、
少しばかり本気を出そう。右手に力を込める。ゆっくりと鍵を回す。
……回らない。もう少し力を込める。……まだだ。さらに力を込める。
「頼む……!」心の中で、そう呟いた。
そして、めいっぱい鍵を回す。
\ガチャッ🔓/
その瞬間だった。長き封印が解かれたかのごとく、鍵穴が回った。
「……回ったぁ!!!」
思わず声が出る。いや、正確には「回った」というより、俺の力で無理やり回した。
そんな表現のほうが正しいのかもしれない。

無事に鍵は閉まった。施錠・解錠のいずれも問題なくできるようになった。おっしゃ。
しかし、安心して終わりというわけにはいかない。なにしろ、かなりの力が必要だったのだから。
普通に考えて、デスクの鍵を閉めるために全身全霊を込める必要はない。これは経年劣化による
ものか。長年の使用によって、内部の機構が少しずつ疲弊しているのかもしれない。
そう考えると、今回の一件は単なる「鍵が回らない」というトラブルではない。
鍵からのSOSだったのかもしれない。
「もう……俺、限界なんです(´・_・`)」
鍵穴がそう訴えていたのかもしれない。これは、いよいよ買い替え時ということなのだろう。
とはいえ、とりあえず今回は無事に解決した。社員も安心した様子だった。
そして、俺に向けられたあの羨望の眼差し。あれは、しばらく忘れられない。
別に大したことをしたわけではない。ただ鍵を回しただけだ。しかも、かなりの力で。
それでも困っていた人からすれば、目の前で動かなかった鍵を動かしてくれた人間(俺)は、
ちょっとした救世主に見えたのかもしれない。こうして俺は、またひとつ社内の平和を守った。
パソコンのトラブルでもない。ネットワーク障害でもない。複雑なシステムトラブルでもない。
ただのデスクの鍵。されど鍵。その小さな鍵穴に、俺は全力で立ち向かった。
そして勝利した。今日から俺は鍵界の救世主、まえきん🔑🔓
なお次に同じ鍵が閉まらなくなったときは、俺ではなく業者を呼ぶことを強くおすすめする。